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乳腺外来
特徴
乳がん診療30年の経験を持つ外科専門医が担当し、超音波検査、X線撮影(マンモグラフィー)、細胞診、生体検査などによる診断、乳房温存療法を含めた乳がん治療に力を入れています。乳腺専門の医師による問診、視・触診のほかに、乳腺超音波検査、女性技師による乳房用X線撮影(マンモグラフィー)を行って乳腺疾患の診断をおこないます。
特に乳がんは術後20年から30年という長期にわたる経過観察が必要なため、地域に密接した診療が受けられるように心がけています。マンモグラフィーはガイドラインを満たした最新のFPDシステムを採用し、撮影は女性技師(撮影認定診療放射線技師)が担当していますのでお気軽に受診してください。
また、診断は読影認定医師が行っています。受診される方の診察時間を十分確保するため、完全予約制で行っています。
特に乳房に異常をお持ちでない方も乳がん検診を受けましょう。そして、月に一度日にちを決めて自己検診をしてみましょう。乳房に何らかの異常を感じて受診を希望される方は外科外来までお電話ください。
乳がん自己検診法について
自己検診の方法はこちらからご覧いただけます。<自己検診について>[PDFファイル/352KB]
乳腺外来診療内容
- 問診、視触診:問診票を記入していただきます。
- エコー(超音波)診断:エコー検査ではゼリーをふき取るためのフェイスタオルをご用意いただくと助かります。
- マンモグラフィー(X線)診断:女性技師が対応しますのでご安心ください。
- 乳腺造影MRI検査:腫瘍の広がりや、良性か悪性かを判断するために行う検査です。
- 細胞診:穿刺吸引細胞診(エコーガイド下)、静脈注射用の針を刺して細胞を吸い出します。予約制です。
- 乳頭分泌物細胞診:疑わしい分泌物について検査します。
- 組織診断:針生検(コアニードル)、マンモトーム、切開生検(局所麻酔)。予約制です。入院の必要はありません。切開生検でも約1時間ほどで済み、車を運転して来て、また車を運転して帰れます。通院は翌日一回のみです。検査結果は1週間程度です。
- 乳がん手術:全身麻酔で、症状に応じて乳房全切除術、乳房温存手術などを選択します。入院期間は1週間程度です。
- 放射線療法:乳房を温存した場合、放射線治療のできる施設に約一ヶ月間通院していただきます。
- 化学療法:症状に応じて抗がん剤などの治療を一定期間、短期入院または通院で行います。
- 乳房再建術:乳房の再建が可能なように乳がんの手術を行い、乳房形成については専門の形成外科を紹介します。
- 乳がん手術後の経過観察:手術後2年間は4か月に一回、その後は半年に一回通院していただき経過を見させていただきます。
- 再発乳癌の治療:再発乳癌の治療は抗がん剤による治療が主体となります。入院、通院を組み合わせて行い、QOL※1を高める努力をいたします。
- 乳がん検診:乳房に異常を感じていない方は年1回乳がん検診を受けましょう。
- 乳房に異常を認めた方、医師から経過観察を指示された方:完全予約制のため、外科外来までお電話ください。
※1 QOL:(クオリティ・オブ・ライフ 人生の質、充実度)
乳腺外来日・予約について
専門外来 (乳腺外来) 担当医師 古田
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | |
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外科1 完全予約制 |
/ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | / |
〇 Tel 0576-32-2121 外科外来 午後2時過ぎから受付けています。
超音波診断は、もっとも乳腺濃度の高い30代の乳房の検査にきわめて有効です。
マンモグラフィーは、40歳以上の乳房の診断に適しており、特に石灰化のみを所見とする乳がんの発見に有効です。
乳腺エコーについて
乳腺エコーの検査は、超音波を使って乳房の断面像を得る検査です。超音波の通りを良くするために、乳房表面にゼリーを塗って検査をします。痛みや放射線の被爆もなく、何度も繰り返し行うことができ、体に無害です。また、しこりの鑑別診断に大変優れた検査です。
乳腺エコーは、マンモグラフィーでは見つけにくい若年者の乳腺内のしこりの描出にも優れています。5mm以下の小さなしこりも見つけることができ、超音波検査下にしこりを見ながらその一部を採取して、確定診断のための病理検査を行うこともできます。
※金山病院で乳腺エコー検査を受けられる方は、検査に使用したゼリーをふき取るためにタオルを一本ご用意ください。
マンモグラフィーについて
マンモグラフィーの詳細はこちらご覧いただけます。<マンモグラフィーについて>
当院ではマンモグラフィ検診施設画像認定を取得しています。
マンモグラフィーと乳腺エコー検査の違い
マンモグラフィーは体格の大きな欧米で発達し、海外ではマンモグラフィーを行ったグループのほうが行なわなかったグループよりも乳がんの生存率が高いという研究結果が出ています。特に微小な石灰化像を有する乳がんの発見に威力を発揮します。しかし石灰化像のみで、しこりを伴わない乳がんの頻度は多いものではありません。日本人の乳房の形体から見ると乳がんの最も多く発見される40歳代後半から50歳代前半の乳房は乳腺濃度が高く、映し出される影が多いので、その重なりの中からがんを見つけ出すのは高度の経験を要します。<症例>[PDFファイル/677KB]
エコー(超音波)を使って現在行われている仰臥位圧迫法による乳がん診断は日本で発達しました。日本人の乳房は、マンモグラフィーでは多くの影の重なりが映し出されることが多くその中からがんを発見することが難しいのに対してエコーでは乳房の断面を観察できるので日本人の乳房に適した検査法といえます。エコーでは直接しこりの断面を診ることができるのです。<イラスト>[PDFファイル/319KB]
けれどもしこりをつくらず微小な石灰化像のみを有するがんの発見は困難です。乳がん検診では両診断法を併用したほうが有効だとされています。精密検査では両検査法は必須です。また手術医は術前必ずエコーでしこりの位置、広がりなどを確認し手術部位、切除範囲を決定しています。
マンモグラフィーについて
マンモグラフィーの詳細はこちらご覧いただけます。<マンモグラフィーについて>
また、当院はマンモグラフィ検診施設画像認定を取得しています。
金山病院で行っている乳がん治療について
乳がんは、40代から50代の女性に多いがんです。乳がんの治療は手術ばかりでなく、抗がん剤治療や内分泌療法などが必要となります。また、乳がんは他のがんと違って10年後、20年後でも再発する可能性が高く、長期の経過観察が必要となっています。そのため、金山病院では身近な病院として乳がんの標準的な治療を行い地域の皆さんの生活を支援しています。そこで今回は金山病院が行っている乳がんの標準治療についてご紹介。標準治療というのは高い効果が期待でき、安全性も確認された、現時点での最善の治療法です。
現在の乳がんの標準的な治療は手術です。乳房を全部取る乳房切除術と部分的に取る乳房温存手術があります。手術目的は、がんを取り除くことです。部分的切除でもがんを取り除くことができれば乳房温存を選択できます。がんを取り除くためには乳房切除が必要なこともあります。がんの広がりによってどちらかを選択します。全国的には6割の患者が温存を選択していますが金山病院では4割となっています。温存乳房にはわずかながら再発があること、放射線治療が必要であることなど、説明を納得したうえで本人に決めていただきます。手術に際しては腋の下のリンパ節の一部または全部を切除し転移がないかを調べます。
温存した乳房には再発予防のために放射線治療を行います。25回(一週間に5日、5週間)放射線治療施設のある美濃加茂市か高山市に通院していただきます。日焼けに似た症状以外重大な副作用はありません。
抗がん剤治療を行うかどうかは、がんの進行程度、病理学的悪性度によって決まっています。現在再発予防のためには、3週間に一回点滴注射で薬剤を組み合わせて5から6回、薬剤によっては1年間行います。予防的治療なので無理をせず回数や薬剤量を減らしたりして副作用を抑えます。脱毛は避けられないのですが髪の毛は治療が終了すれば再生します。乳がんの6割は女性ホルモンの働きによって分裂、増殖します。この性質は病理検査で判定し、陽性の場合に閉経前では女性ホルモンの働きを抑える(更年期の状態を作り出す)薬、閉経後は脂肪組織などで女性ホルモンが作られるのを抑える薬を使います。注射や飲み薬があり長期にわたって使用します。
残念ながら進行した乳がん、転移再発した乳がんには抗がん剤治療や放射線療法などを行い、がんを進行させない、がんと共存しながら生活を維持していくことが基本になります。以上のことからもがんの治療ができる身近な病院として金山病院の機能を維持していくことが重要と考えています。