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令和7年12月11日、下呂市議会から「市政の課題に対する提言書」を下呂市長に提出しました。
下呂市議会では、議会基本条例に基づき、市民の皆さまの意見を反映した政策提言に積極的に取り組んでいます。今年度も7月の常任委員会による管外視察など、調査研究を重ねてまいりました。今回の提言が、下呂市第三次総合計画などの施策に反映されるよう、今後も市民の負託に応える議会活動を推進してまいります。
令和6年度決算において、ごみの収集や無料もえるごみ処理券の作成・配布等に係る費用は約2億円でした。収集費用の削減、作業の効率化、ごみの減量化・資源化に一層取り組む必要性を強く感じました。
また、約14年後の新クリーンセンター建設を見据えた具体的なごみの資源化の方向性・方策の調査・研究に早急に取り組む必要があるため、以下のとおり提言します。
1.ペットボトルの収集にかかる労力と運搬コストを削減するために、潰したペットボトルが処理できる圧縮機の導入について検討すること。
2.衣類・雑紙等の資源化に向けて検討すること。
3.焼却している生ごみを液肥や肥料、バイオコークス等に資源化し、市内循環する仕組みを検討すること。
4.ごみの分別方法や収集日等に関する専用アプリについて検討すること。
人口減少・少子高齢化により空き家が増え、街の活気がなくなりつつあります。空き家バンクに登録しない理由の一つとして、家具などの片づけに費用がかかることが理由として挙げられます。
移住定住の促進、関係人口の増加のために、空き家を利活用する取り組みを進めるため、以下のとおり提言します。
1.家具類の処分や仏壇等の供養に係る費用の補助制度を検討すること。
2.空き家バンクの登録数とサイトへのアクセス数を増やすための方策を検討すること。
3.中間管理住宅の活用に向けて検討すること。
4.移住につながる「おためし住宅」制度を検討すること。
昭和57年に新築されたあさぎりサニーランドは、築42年を経過し、雨漏りが多発するなど施設の老朽化は激しく、職員の働く環境も整っていません。さらに現所在地は飛騨川浸水想定区域に指定されており、防災面でも大きな問題があります。
市においても、移転新築に向けて取り組まれていますが、新たな施設が下呂市の介護サービス等の基幹施設として引き続き大きな役割を担っていけるよう、以下のとおり提言します。
1.民間事業者の創意工夫等を最大限活用し、公共サービスの向上、地域経済の活性化及び財政負担の軽減(補助金活用)等について検討すること。
2.防災面、安全性を最大限留意した設計とすること。また、施設へのアクセスもよく考え道路整備等もあわせて検討すること。
3.新施設については、木のぬくもりを感じる木造とし、今後予測される高齢者の減少時に、用途転換が容易な分棟型での設計を検討すること。また、建築家を含め市内外から幅広く提案を募ること。
4.新施設は、ヒートショックや熱中症のリスクなどを削減し、快適かつ健康的に暮らせるよう、断熱等性能等級5以上とし、熱損失を最小限に抑えエネルギー消費が少なく、冷暖房費の削減に配慮した設計とすること。
令和6年4月から熱中症特別警戒アラートの運用が始まりました。自助による熱中症予防行動を原則としつつも、共助や公助として最大限の予防行動が実践できるよう、自治体による支援も求められています。全世代の市民を猛暑から守るため、以下のとおり提言します。
1.地域の集会施設等をクーリングシェルターとして活用し、併せてエアコン等の整備や電気代を含む施設の維持・管理費の補助等を検討すること。
2.登校時に保冷剤やネッククーラー等を使用している児童・生徒もいるため、それらを在校中に再冷凍できる保冷機器の設置を検討すること。
また、日傘の効果を保護者等に周知し、その活用促進を検討すること。
過疎化や少子高齢化等により、従来の公共交通の維持が困難な状況となっています。市は、高校生の通学補助制度を創設し、保護者の経済的負担軽減に取り組みましたが、子どもや高齢者を含め、市民誰もが暮らしやすい下呂市の実現のため、以下のとおり提言します。
1.第3次総合計画に掲げる多極ネットワーク型コンパクトシティを目指し、市内全体で、公平で利用しやすい補助制度を整備し、全ての市民が気軽に公共交通を利用できる環境を検討すること
2.高齢者や免許を持たない市民が安心して移動できるよう、地域の絆を活かした非営利ライドシェアの導入を検討すること。
昨年に引き続き、能登半島地震の被災地へ出向き、中でも特に被害の大きかった石川県七尾市・輪島市の状況を現地のガイドの説明を受けながら管外視察をさせていただきました。そのガイドは発災当時、輪島市において旅館を経営されていた方で、当時の状況からその後の経過、行政の対応等、様々な観点からつぶさに観察・記憶しておられ、同じ観光地として非常に参考になる話しを多く聞くことができました。当委員会で持ち帰った情報を整理し、取捨選択して下呂市にとって役立つと判断した事柄について提言としてまとめました。
また、被災地の現状を見るにつけ、同様の規模の災害が平日の昼間ではなく、夜間・休日に起きた場合の下呂市に思いを馳せた時に、各町村、各区内で道路が寸断され、通信手段もままならない状況が容易に想像できます。通常の危機管理体制は機能しません。そこにいる人たちだけで指揮所を立ち上げ、対応していかなければならない状況に陥ります。このようなことを考えると、防災訓練の在り方も見直していく必要があると判断し、提言に組み込みました。
1.施設・資機材の充実を図ること
(1)避難所の整備拡充
・災害時には上下水道が使えなくなる可能性が高く、トイレが大問題となる。女性のプライバシー保護の観点からも各避難所にマンホールトイレを設置すること。
・体育館へのエアコンの導入については莫大な予算を要し、非常にハードルが高い課題であることは認識しているが、昨今の異常な気温上昇を考えると、災害時のみならず授業や行事等で使用するにあたり、ゆくゆくは整備せざるを得ない状況になると思われるため、常に検討は進めていくこと。
(2)公用車のハイブリッド化の推進
・災害時は電気も使えなくなる可能性が高く、電気自動車は充電ができないため、役に立たなくなってしまう。これに対してハイブリッド車は設備次第で1500W程度(プリウス1台)の発電機と同様の役割を果たし、更に体調の悪い方や高齢者の休息場所としても利用が可能で非常に有効と思われるため、公用車の更新時の判断基準に加えておくこと。
2.ソフト面の充実を図ること
(1)井戸水・山水マップの作成
・上下水道が機能しなくなるため、利用できる井戸水・山水等の位置をあらかじめ把握し、誰が見ても分かるように防災マップに落としておくこと。
(2)宿泊施設を避難所として利用するためのガイドラインの策定
・被災しなかった宿泊施設、比較的被害の少なかった宿泊施設を観光客等の避難所として利用するためのガイドラインを作っておくこと。(例えば、避難所として利用する宿泊施設については優先してライフラインの復旧を行う等)
3.緊急時の体制を整備強化しておくこと
(1)災害協定の見直しおよび強化
・自助、共助の観点から、自分たちでできることをする機会を失することのないよう、建設資機材リース会社と災害協定を結んでおくこと。
・キッチンカーの運営組合と災害協定を結んでおくこと。
・近隣市町・姉妹都市との災害協定の中に市営住宅等を仮設住宅として利用できるような条文を盛り込んでおくこと。
(2)防災訓練の内容の見直し
・すべてを行政に頼るのではなく、例えば非常食の備蓄は3日分等の具体的な指針を多く盛り込むなど、市民の中に自助・共助の意識が醸成されるような訓練も行うこと。
・孤立した場合に特化した訓練を実施すること。(孤立した地域に住む市職員、教職員のみで指揮所の立ち上げから避難所開設までの手順および地域住民への周知の仕方についての確認等)
(3)マンパワー不足を補うための協力体制の確認および強化
・周辺自治体との連携体制の確認および国・県への要請手順ならびに要請内容を精査しておくこと。
・ボランティア受け入れ体制を強化すること。
昨年度の当委員会の提言が「小さな担い手支援事業」の新設につながり、予算規模としてはまだまだ小さいながらも市独自の農業支援施策として、今後の当市の農地保全、荒廃農地減少に向けて光を当てていただいたことに改めて感謝申し上げます。
さて、農地の集積・大規模化が進む中で、例えば条件の悪い遠くて狭い圃場は担い手に耕作を断られるといった新たな課題も見えてきております。下呂市の農地をどのように守り、存続させていくのかは、非常に大きな問題であり一朝一夕に解決できるものではありません。更に言えば、単に農地だけでなく、市が進めていこうとしているまちづくりにも大きく関係する問題であると認識していますが、今回は昨年に引き続き農地保全に対して、以下の2項目について提言します。
1.現場が抱える課題を正しく認識すること
(1)アンケート調査の実施・集計
・農業従事者に対して早急にアンケートを実施し、その結果を踏まえ、行政がリーダーとなって個人就農者、集落営農組織、担い手等を召集した会議を開催し、下呂市の農業と農地保全に関して情報を共有し、互いに補完し合える部分を見定める機会を創出すること。
・アンケートであがった各要望について、検討し事業化する価値のあるものについては早急に進めること。
2.新たな事業を展開すること
(1)企業の参入を促す
・国、県の推進する事業を積極的に紹介し、就農における地元企業の参入を図り、合わせて生産~加工~販売までの総合的な事業開拓支援を行うこと。
(2)山間部におけるモデル地域の設置
・山あいの悪条件の農地でモデル事業を実施すること。(例えば、稲作とトマト等の畑作物および畜産をミックスした就農等)
(3)更なる農地の集積を推進する
・農地が適切に管理運営できるようにするために、未実施の地域について地元説明会を積極的に開催し、農地バンク(中間管理機構)への登録を促し、集約化を進めること。
市政の課題に対する提言書(令和7年) [PDFファイル/1MB]
※提言書は、令和7年11月28日に策定、12月11日に提出